3.持続可能な里山バイオマスの循環利用

石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、動物や植物の遺骸が地中に堆積し、数千万~数億年に及ぶ長い年月をかけて変成してできたものです。
化石燃料は、燃焼させれば地球温暖化の原因とされるCO2が発生しますし、埋蔵量にも限りがありますから、永続的に利用し続けることはできません。
これに対して、燃料革命以前に使用していた薪や炭は、化石燃料と違って同時代の植物から得られるバイオマス資源の1つです。

化石燃料もバイオマスも、もともとは太陽エネルギーが蓄えられたものですが、化石燃料が地質年代に及ぶ長い時間をかけてできることと比較すれば、バイオマスがエネルギーとして利用できるまでの時間は数年~数十年と短いです。
この時間スケールの違いが、両者の環境性能の違いを生みだしています。
すなわち、地下に埋蔵されていた化石燃料を燃やすことは、膨大な時間をかけて蓄積された太陽エネルギーを一気に使い尽くすことですから、燃焼によって生じるCO2は大気中に増加するだけで、これを地中に再び戻すことは難しいです。
これに対してバイオマスの場合、燃焼によってCO2が生じても、植林すれば植物の成長過程で光合成によって吸収できるのでCO2は増えないとされる。この特長は炭素中立(カーボンニュートラル)と呼ばれ、温暖化を緩和する低炭素社会に向けて重要です。

化石燃料を大量に使用することは、将来世代が使用できる化石燃料を減らしてしまうという点と、温暖化を進めることで将来世代の環境が悪化する可能性が高くなるという点で避けるべきでしょう。これは、現在世代と将来世代の世代間公平にかかわる環境倫理の問題です。

こうした問題を考えるために、人間の活動が将来にわたって持続できるかどうかを表す持続可能性(サステナビリティ)という概念があります。化石燃料に依存する社会は長く続かないでしょうが、バイオマスを利用する割合を高めていけば、社会の持続可能性は高くなるに違いありません。この持続可能性という観点から社会のあり方を考えたとき、日本では里山が見直されるようになりました。