圏央道相模原ICにも近く、首都圏からのアクセスにも恵まれた立地にありながら、地域のほぼ全域が農業振興地域として農の営みを続けてきたことにより、里山の環境と景観が守られてきました。しかし、農林業の営みによって保全されていた里山の農地や山林は、高度経済成長に伴うライフスタイルの変化や後継者不足から十分な管理が行われなくなっていきました。
一方、身近な自然とのふれあいや農村体験を希望する都市住民は増加傾向にあり、生態系の確保に寄与する里山の保全が求められています。

このため、小松・城北は、2008年に「神奈川県里地里山の保全、再生及び活用の促進に関する条例」が初めて適用される地区として選定され、2012年に「相模原市里地里山の保全等の促進意関する条例」の指定地区となりました。さらに、2015年には、国(環境省)の「重要里地里山500」(生物多様性保全上重要な里地里山)に選定されました。

神奈川県および相模原市は、それぞれ条例に基づいて、地域の活動団体である「小松・城北」里山をまもる会を支援し、里山の自然・文化の保全を図っています。


重要里地里山500の選定理由

相模原市の北部、境川の上流域に位置し、三方を山に囲まれた市内でも有数の規模の谷戸からなる地域である。
谷戸の水田・畑地、湿地、ため池や水路、樹林地などを含むモザイク状の土地利用が維持されており、水田復元など里山整備によって良好な生態系が再生されたことから、里地里山に特徴的な種であるアキアカネやオニヤンマなどのトンボ類の種と数の増加が確認された。トンボの増加を水田復元の成果の指標とすることで、当該里地里山全体の保全、その他さまざまな種の保全につながっている。

保全活用状況(取組状況)

  • 市で認定した活動団体による休耕田や山林、ビオトープの整備等を実施している。
  • 活動の一環として地元の小学校と連携し、里山体験学習を実施している。

「小松・城北」里山をまもる会

「小松・城北」里山をまもる会は、2004年度に神奈川県から「里山づくり推進事業」のモデル地区第1号として指定を受け、地域の既存団体が連携して、2004年4月に発足しました。

活動目標に「後世に誇れる里山づくり」を掲げ、ビオトープ整備、散策路や古道の整備、山林の下草刈り、小川の清掃、畑作業のほか、小学校の体験学習、企業のCSRの受け入れ、地域イベントへの参加など、幅広い活動をおこなっています。

2016年からは、東京海上日動の「Green Gift 地球元気プログラム」を受け入れ、NPO法人よこはま里山研究所(NORA)、関東EPO、神奈川県、相模原市などと協働して、市民参加型の里山保全・環境教育イベントを実施しています。