国内外来種・侵略的外来生物

2019年9月の「水辺の生き物観察会」(GreenGift地球元気プログラム)では、大きなドンコ[写真11]が複数捕獲されるということもありました。この魚は、この地域にはもともと生息しなかったので、国内外来種と呼ばれます。問題なのは、希少種のホトケドジョウをよく食べてしまうということです。その影響かもしれませんが、このときの観察会では、ホトケドジョウは観察されませんでした。

写真11 国内外来種のドンコ―小さい魚を食べてしまう

つい最近発見された外来種の例もあります。
在来種を排除して置き換わる性質の強い侵略的外来生物とされているムネアカハラビロカマキリ[写真12]で、一度に複数個体が確認されました。カメラを向けると、鎌を振り上げ20㎝程度の距離を羽ばたいてとびかかってくるなど、その攻撃的な性質に驚かされました。一方、今年(2020年)、この地域では在来のハラビロカマキリにはまだ見かけていません。

写真12 外来生物のムネアカハラビロカマキリ

何年か前ですが、アサギマダラ[写真12]の長距離移動を確認したこともありました。このチョウは南西諸島とつながりがあって、毎年、日本各地で標識調査が行われています。城北でたまたま捕獲されたこのチョウの翅の裏には、「デコ、ちえこ、8/26、131」と書かれてありました。後日調べたところ、福島県のスキー場グランドデコにて、ちえこさんが8月26日に放した131番目のチョウであることがわかりました。
この種の南下移動は太平洋側では少ないとのことで、この発見により比較的まれな移動コースがあることを確認できたと同時に、この地がこうした移動個体の中継地点として機能していることもわかってきました。

写真13 標識が施されていたアサギマダラ

このように、小松・城北の生物多様性から見た生態系は、都市近郊でありながらも、自然豊かな地域に生息する生き物が定着しており、安定した生物群集を維持していると考えられます。
一方で、多くの北上種を受け入れ、また外来生物の侵入を受けてもいて、その影響について懸念すべき点もあるといえそうです。